「伝えること」と「伝わること」

新緑がなんとも眩しく美しい季節。
日本中のあちらこちらの会社で新入社員が入社し、
いろんな研修が行われている頃だろうか。

この時期になると自分の新人時代を思い出す。
新入社員研修で教わったことのひとつが
「人にものを伝えるときは小学校5年生にもわかるように伝えなさい」だった。
なぜ5年生だったのか、4年生や6年生じゃだめだったのか、
という細かいことはさておき、
とにかく「小学生にもわかるように話すこと」と教えらた。

それぞれの業界にはそれぞれの専門用語というものがある。
傍からすると呪文のように聞こえる専門用語。
その呪文のような用語を年月が経てば、普通に使ってしまってる自分がいる。
そうなったら危険信号!呪文を並び立てて、お客様に伝わるはずがないのである。
私は3年目のときに専門用語を使わないでいかに伝えられるか
という壁にぶち当たった。

専門用語というのは「伝える」側にはとっては便利ではあるが、
お客様にとっては乱暴なことだってある。

「伝えること」と「伝わること」は全く別物だと気づいた3年目。
3年経てば「伝える」技術は上達するが、果たしてそれが
お客様に伝わっていたかは疑問だ。
専門用語を多用して、難解な伝え方になってはいなかっただろうか。


専門用語を使いこなせない無知の新人時代だからこそ、
分かりやすい言葉で伝えられてたこともあるように思う。

新入社員の強み。
それは、

お客様の立場に一番近いこと

だと思う。

これから業界に染まっていくであろう新入社員たち。
どうか今の真っ白な状態も忘れないでいてほしい」
と老婆心ながら思うのであった。

誰かに何かを伝えるときには、
相手の立場に立ち、分かりやすい言葉で伝えられているか、
自己満足な伝え方になっていないか、など意識したいと思う。
毎年、新入社員の背中がそんな初心を思い出させてくれる。