たんぽぽ草紙

恩田陸さんの本が好きです。
最近読んだ『たんぽぽ草紙』

最近は小説を読むときも、
空間の部分に注目が行くようになりました。

心地のよい空間の作用が文章化されている部分が、
美しかったので抜粋。

 

私の家は、槙村のお屋敷の裏手にございました。
明治の初めに建てたもので、和洋折衷の造りです。
住まいの日本家屋とは
渡り廊下で洋風建築の診療所と繋がっておりました。
(中略)渡り廊下の窓辺には、
小さな椅子が並べておいてありました。
ここが私のお気に入りの場所だったのです。
(中略)渡り廊下を隔てて、おうちは母の世界。
和裁を教えていた母のところには、
きょとんとした目の若いむすめさんたちが
よく通ってきていました。
(中略)硝子戸の向こうはお父様の世界。
急に病人が運びこまれたりすると、
そこはざわざわと殺気だった世界に一変します。
(中略)
お部屋にいるよりも、私はあの場所が好きでした。
確実に世界と繋がっているけれども、
誰も入ってこない私だけの小さな窓辺。
そこから見えるたんぽぽの丘。
(「蒲公英草紙 常野物語」 2008年5月 集英社)

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渡り廊下はどの空間にも属さないけれども
どの空間とも繋がっている、
“あいまいな空間”だと思います。

 

“心地のよさを生み出すあいまいな空間。”

 

1年前くらいに伊礼さんの講演で学んだことです。
( この講演のことを書いたブログはこちら↓
  http://miyajimagumi.com/blog/4096 )

丁度1年前にこのブログを書いたんだと思いました。

3月11日。
9年前に起こった未曽有の震災に想いをはせて、
今を、これからを生きる人たちが
より生きやすい世の中になるようにお祈りいたします。