共に生きる

朝食を食べながら、庭に目を遣るとムクドリやらヒヨドリも
朝ごはんのジューンベリーを食べに来ている。
ネットをかけてはいるが、私の仕事が雑なのを見透かすように
網目をくぐってモグモグムシャムシャ。

観察隊1号&2号もその様子をじっと見つめて、
「美味しそうに食べてるね」
「チュンチュンかわいいね」
「ネットの意味、全然ないね」
など好き放題言っている。

網目をしっかりと閉じようと庭に出たが、
ふと、徒然草の一節が頭をよぎって、握り締めた
麻ひもを引っ込めた。

徒然草 「神無月のころ」より引用

かなたの庭に、大きなる柑子の木の、枝もたわわになりたるが、
周りをきびしく囲ひたりしこそ、少しことさめて、この木なからましかばとおぼえしか。

<現代語訳>
向こうの庭に、大きな柑子(みかん)の木で、枝がしなうほど実がなっているが、
木の周りを頑丈に囲ってあったのは、少し興ざめして、この木がなければ
よかったのにと思った。

麻ひもを握り締めた私の姿を見て、野鳥たちは
「あら、私たちに食べられないように厳重にネットで囲むなんてガッカリだわ。
いっそうのことこんな木なんてなければよかったのにね」
なんて思ってるかもしれない。

そんな一節が頭をよぎったので、ポッカリ開いた網目はそのままにして
野鳥と共に食べ分けることにした。

観察隊たちも間近で野鳥の様子を観察できて喜んでいる。
野鳥も美味しい実が食べられて喜んでいる。

建築が環境と共生していくように
人も自然と共生していくことが大切。
そんなことを野鳥が私に改めて教えてくれた。

さて、わずかばかり収穫できた実はジャムにでもしようかな。