春のあしおと

沖縄の友人から桜便りが届いた。「那覇は桜が満開だよ」と。
沖縄の桜は寒緋桜(カンヒザクラ)で本土で咲く桜とは少し違う。
うつむきがちに下を向き控え目な様子を呈してはいるが、
色は意思のはっきりした濃いピンク色。
「沖縄の青空を背景にするのだから、これくらい濃くなくてはね!
夏に咲く、ブーゲンビリアさんやハイビスカスさんよりは薄い方よ。フフフ」と
思っているのかもしれない。ソメイヨシノのようにハラハラと散る儚さはないが、
ガクごとボトッと落ちる潔さは好きだ。

週末は西条も春の足音が聞こえてくるような暖かさだった。
日曜日のコーヒーのお供は小説が多いのだけれど、今日は我が家で一番日当たりの
よい場所を陣取って、窓も全開にして、「イエプロ」(発行日:2020年6月30日)を眺める。

小説を読むときは、登場人物を頭の中で映像化し読み進めていくことが愉しい。
それと同じく、イエプロを眺めているときもそこで暮らす登場人物を
映像化し、
住み手のライフスタイルを勝手に妄想しながら、コーヒーをすする。

幸せなひととき。家を眺めているだけで、家主さんの趣味や大切にしている
ものが分かる家は素敵だと思う。
設計士さんと家主さんが何度も何度も話し合い、
意思を通わせた結果、生まれた家。個性的な暮らしが詰まった雑誌は小説を
一冊読み終えたような気分にさせてくれた。

庭に目を遣ると、先日の節分の豆を食べに来た鳥たち。
それを追いかけまわす子どもたち。
嗚呼、春はすぐそこだ。