田を眺める

「ほら、風のカタチが見えるよ!」
田んぼを眺めるのが好きな観察隊1号が叫んでる。
幼い子というのはときに詩人のような言葉を使う。

「風のカタチ?(また突飛なことを言い出したぞ)」と
田に目をやると、
なるほど、風が稲穂を揺らし波のようにうねっている。
まるでトトロの猫バスが通ったかのごとくうねっている。

ついでに「猫バス見えた?」と聞くと、
「いや、それは見えん」とバッサリ。
幼い子というのは気持ちのいいほどに正直だ。

しかし、カタチなど見えないと思い込んでいる風も
真っ白な気持ちで見ると見えるもんなんだなぁ。

本気で虹を渡れると思ってみたり、
雲を食べてみたいと思ってみたり、
そういう発想はオトナの私にはもうない・・・。
しばし幼い子の純粋さに嫉妬する。

そんな嫉妬心を抱いている私をよそに
観察隊1号の田んぼ観察は続き、
新米を食べに来ている美食家のスズメを見つめる。
そして、傍を一匹の猫がぬらーと通りすぎる。
どこか品のある白猫で、スズメを狙うわけでもない。
一方、スズメも米に集中し、天敵の猫には
微塵も気づかない。

「猫と雀」

ふと、日光東照宮で見た眠り猫とスズメの彫刻を思い出した。
有名な「眠り猫」の裏には「遊んでいるスズメ」の
彫刻がある。この教えには諸説あるが、私は

「裏でがスズメが舞っていても猫も寝るほどの平和を
現している」という教えが好きだ。

米にしか興味のないスズメとスズメには興味のない猫。
ここ西条も平和である。

さて、宮嶋組の現場近くでも黄金色に輝く稲たちが
もうすぐ刈られる。ツヤツヤの新米に明太子を乗っけて
食べたい
モチコでした。