空白の美

観察隊1号・2号が「大広重展に連れて行ってー!!」と日々
せがむので、たまには美術鑑賞もいいかと重い腰をあげた休日。
観察隊らは永〇園のお茶漬けにオマケでついてくる歌川広重の
浮世絵カードのコレクターでもある。

美術館内でコレクションしたカードと同じ東海道五拾三次の絵を
見つけては満足げにうなづく観察隊1号、2号。
石鎚山を描いた浮世絵もあり、私も少々興奮気味。
広重が西条に来たのではなく、資料を元に描いたそうだ。


やはり広重といえば、「ヒロシゲブルー」と呼ばれる、藍色が特徴的。
海や空を大胆な青色で描いたり、時には繊細に青色を用いたりすることで、
作品の奥行が伝わってきた。
広く描かれた空や海の絵を見ながら、私だったら無駄に海に船を描きたく
なりそうだが、広重は堂々とブルーだけで表現している。

そう言えば、高校時代の美術の先生から「君はたくさん描きすぎる。
空白の美を大切にしなさい」と言われたことがある。自分の絵に自信が
ないので、いろいろと描きすぎて稚拙な絵をごまかそうとしていたのだろう。
それに比べ、広重の空は空白の美だ。無駄なものを描かないことで、
見る者の想像を掻き立てる。

日本の芸術や文化、建築の特徴のひとつとして空間的な余白の美しさがある。
それを表現できるようになると、作品の中に余韻を醸し出すことができるんだろうなぁ。
心が落ち着く建築には必ず、空間的な余白、間(ま)があるような気がする。
自分の生活にもこの余白を取り入れたいものだ。


シンプルさは究極の洗練である。
(レオナルド・ダ・ヴィンチの名言)