四国山脈を望む家その8(職人技)

梅雨の晴れ間。アジサイも日光浴を楽しんでいるようです。
雨に打たれても、太陽の光を浴びても梅雨のアジサイというのは
存在感がありますね。

さて、四国山脈を望む家の大工仕事も佳境に入ってきました。
今日はK大工さんの丁寧な仕事ぶりについて、少しご紹介します。

こちらは階段の幅木です。
幅木は薄い板を壁の足下に張り付ける方が簡単なのですが、
それだとどうしても打ち付けた細い釘が見えてしまいます。
今回は幅木にしゃくり(溝)をつけて、そこにボードを差し込みます。
これは経年したときに壁と幅木の隙間ができないようにするひと手間です。

さらに特筆したいのは、赤丸の部分。ちょっと丸みを帯びているのが
わかりますか?お坊さんの頭のように丸いので“坊主面”と呼びますが、
幅木でここまでしているところはなかなかありません。
坊主面にすることで、幅木をつなげたときにやわらかい印象になり、
見た目が上品に仕上がります。

こちらは窓の木枠にとったしゃくりです。
この後、このしゃくりにボードを差し込んで
いきますが、木が縮んだり、
地震などで建物が揺れた場合にボードと
木枠の間に隙間が
できてしまう可能性があります。

その隙間をなくすためにしゃくりをとっています。

こちらは部屋の入隅(いりずみ)です。
芸術品のように一切の隙間なく“つき”がよいです。

髪の毛一本どころかマイクロファイバーさえ入り込まない
でしょう。

天井部分です。最終的には見えなくなる部分まで
きっちり美しく収める大工さんは本当に信頼できます。

こちらは階段の柱です。

図面でいうと上図の赤丸部分です。
この柱は真っ直ぐではなく柱の上部を切り欠いてますね。
これは設計士さんのこだわりというか心遣いなのですが、
こうしておくと
手をかけたときに指がしっかり入り込み“握り”が
いいのです。
そういった細かな点にも大工さんはしっかり応えて丁寧な仕事を
してくれています。

 

住む人の未来を想像しながら創造する

しゃくりにしても階段の柱にしても真っ直ぐなままの方が
施工は簡単なのに、一切妥協せずに熟練した技をひとつひとつに
込めてくださっています。住み手の10年先、20年先、いや
もっと先までも想像しながら仕事をしているのが伝わる現場です。

ちなみにK大工さんの現場はいつ行ってもキレイです。
“整理整頓”はもちろん、一日の仕事が終わると掃除機をきれいに
かけ“清掃”も行き届いています。

あー、私も机の上を片付けなければいい仕事ができないな・・・
机の整理は頭の整理!!志高きK大工さんを見習わなければ!