地元の木を地元で使う

山にドライブに行くと藤の花を見かけるようになった。
寒い冬をじっと耐えた植物たちが一気にパワーを開放し、
山がぐんぐん成長しているようにも思えた。

山を眺めながら、戦後の先人たちにしばし思いを馳せる。
先人たちは戦後の復興の中で未来の我々のために緑豊かな
山を残そうと植林してくれた。その木は今では住宅用の
柱がとれるまでに成長した。
植林した先人たちに見せたいくらいの緑豊かな森林だ。

愛媛県は山が多く、県土の71%(41万ha)が森林で、
そのうちの60%以上は先人たちが植林した木と言われている。
愛媛県は全国でも有数の林業県になったのも、先人たちの
努力の賜物なのである。

我々建設業にとって、木材は大切な資源。
その資源を後世に残そうと努力してくれた先人たちに感謝したい。
今日の森林の新緑がやけにまぶしく感じるのは、先人たちの思いに
タイムトリップしすぎのせいだろうか。

そして今、愛媛県は森林資源が充実期を迎えている。

しかし、悲しいことに県産材は木材の代替品や輸入材の影に隠れて
しまっている。オトナの木が使われないと、コドモの木が植えられず、
森林が循環できない。手を入れないと家も荒廃していくのと同様に、
山の木も放置すると荒廃につながっていく。
健康な森林であり続けるには、循環が必要なのだ。

 

森林の循環のためにできること

森林の循環とは何か。
育った木を「利用するため」に伐採し、再び植えて育てていくこと。
そう、まずは「利用する」ということから森林の循環が始まる。

そこで、愛媛県では、柱材プレゼント事業を行い県産材の需要拡大に
尽力している。現在、宮嶋組でも県産材を使ったお宅を建設中。

家の軸となる構造材として愛媛県の杉を使用。

愛媛の土地の土質、風土に合わせて、成長を続けてきた木材。
切り倒し加工した後もその性質は変わらない。
木にとっても生まれ育った土地で家として生まれ変わることは
とても居心地がいいのではないかと思う。
人も生まれ育った土地に帰るとほっとして居心地がいいと感じるのに
なんだか似ている。

地元の木を使うということは、その土地にある菌に対する
耐性もあるので腐りにくいとも言われている。
そのため地元で家を建てるときは、地元の木材を使うことが一番理に
かなっている。

国宝級の木造の建物なども何百年もそこにあり続けられるのは、
地元の木を使っているからなのだろう。

オトナの木が伐採され、資源として活用され、またコドモの木が植えられる
という森林の循環。
我々の仕事も微力ながら森林の活性化につながることを願うばかり。
先人たちのアツい思いのためにも。