町と家の「あいだ」を考える

先日リクシル愛媛支店企画で、
建築家伊礼智さんのお話を聞く機会がありました。
建築に関係のない学校を卒業した私は、伊礼さんの事を全く知らず、
恥ずかしながら、なんとなくセミナーに参加していました。

しかし、
お話を聞くうちに「この方すごい人だ。」と気づいていきまして、
伊礼さんのお話にすっかり感動してしまいました。

今日は伊礼さんのお話から、
私なりに感じたことを少し、ブログに書いていきたいと思います。

伊礼さんのお話は出身地の沖縄の風景のお話から始まりました。

これは伊礼さんが学生の時に書いた沖縄の原風景です。
(セミナー写真のHP掲載了承いただいています)

フクギと呼ばれる日よけの木に囲まれ、
石灰岩の真っ白なぐにゃぐにゃの道、
地面と石垣の間に草花が生えていて壁と床の境界が曖昧になる。
うねった道は雨が降ったら水たまりができて、
それが網目のように続いて家の中までつながっている。

沖縄の外部空間を言葉に表すとしたら、

やわらかな境界、ゆるやかな繋がり

という感じなんだと伊礼さんは意識しているそうです。

ヒンプンという環境装置

入口を切り取って後ろに置いたようなものがヒンプンです。
目隠しや、魔除け、人の動きの振分といった役割があります。

伊礼さんはこの役目のほかに
町を引き込み、引き込みつつゆるやかに拒絶する役割がある、
と言っていました。

雨端というソトとウチの「あいだ」

外と内をつなげる間の空間、

中か外かわからない空間、がアマハジです。
子どもの遊び場、大人の話場、といった
うだうだとした空間だったそうです。

あの世とこの世の「あいだ」
沖縄にはウタキやとーとトートーメーといった

神様やご先祖様とつながる空間があちこちにあります。

海と陸の「あいだ」
沖縄の海のサンゴ礁は潮が引くと海から陸になる。
そこは取り残された魚やわかめなどをとったりする
生活空間になります。

沖縄はこういった空間と空間の「あいだ」が豊かなのではないか。
ゆるやかな繋がり、やわらかな境界、
こういった沖縄の空間のつながり方を取り入れた建築をしているのが
伊礼さんの仕事だそうです。

「あいだ」の豊かさが、心地よさを生み出す。

そういえば、
おばあちゃん家のお風呂から見た満月や
真夏に風通りのいい縁側で過ごした心地のよい
あの空間は内部と外部の「あいだ」の空間だったのかもしれない。

そんなことを思い出しました。

心地の良い空間はなぜなのか、
その答えの一つに出会えた気がします。