IoT住宅

「オッケー、グーグル。行って来ます」と呼びかければ、
照明や空調がオフになり、
「オッケー、グーグル。ただいま」と呼びかければ、
照明や空調がオンになる。

そんなIoTを活用した住宅は今、どのくらい進化しているのか。

日経ホームビルダー9月号の特集に「工務店が作るIoT住宅」の
特集が組まれていたので、興味深く拝読した。

(出典:日経ホームビルダー、2019年9月号)

特集は玄関・窓・リビング・水回りと場所別に注目の
建材や設備を紹介。

▼玄関

テレビドアホンのIoT化は、マンションが先行しており、
戸建て住宅向けの製品はまだまだ少ない。
そのような中でもパナソニックの製品ラインナップが豊富で、
スマホで外出先から玄関ドアの状態確認・施錠ができ、
セキュリティ機能も兼ね備えた電気錠システムが紹介されていた。
同社のホームIoTシステム「AiSEG2」を用いるため、
玄関周りだけでなく、各種家電・住設機器と連携した
高度なホームIoTも実現可能とのこと。

パナソニックの他、アイホンは宅配ボックスと連動したり、
LIXILはカメラで会話や投函確認ができたりと
各社の独自性も今後注目したい。

▼窓

窓のIoT設備は、セキュリティ対策製品がリリースされており、
主な機能は窓の開閉状況を監視し、その記録をスマホなどに通知する。
玄関はしっかり閉めたが、窓は開けっ放しなんてことがよくある私に
とってはありがたい機能。

▼リビング

今、最もIoTの普及が進んでいるのがリビングだ。
その要因のひとつにスマートスピーカーの普及がある。
空調や照明などのコントロールはエンドユーザにとって
一番わかりやすいIoT化かもしれない。

単純に照明をつけるだけでなく、人感センサーにより、
子どもの帰宅を確認すると、録音メッセージが再生
される製品(ソニーネットワーク)など各メーカーは
それぞれの特色を打ち出している。

 

▼水回り

他の場所と比べて、水回りのIoT化はまだまだこれからといった
印象。
我が家にもリモコンや操作パネルの機能をスマホから操作できる
家電があるが、なかなかそれを使う機会がない。

水回りでIoTを普及させるには「健康」というのがひとつのキーワード
になりそうだ。パーパス社は外出先から給湯器の操作をし、浴槽に
つかるだけで体脂肪率を測定し、データはスマホに送信され健康管理
するという「AXiSスマート900シリーズ」をリリースしている。なんとも
斬新。

その他、IoT対応の建材や設備を多数採用したモデルハウスの事例が
掲載されていた。エアコン、照明、カメラ付きドアホン、電動シャッター、
エコキュートなど、多くのシステムのIoTで連動させている。

課題としては、機器の設定など専門的な知識が必要となるため、
教える側にも使う側にもある程度のITリテラシーが欠かせないという点。
さらに、IoT機器ではよくある「ネットワークにつながらない」というエラーの
際にも、連携する製品が多くなればなるほど、原因を特定するのが
素人では難しくなる。

このモデルハウスを建設した社長がおっしゃっているように
「IoT機器を設置すれば、自動で接続できる」くらいのレベルに
ならなければ、普及するのはなかなか難しいのではないか。
エラーも自動解決するくらいのIoT製品が多くリリースされる
ことを期待する。

そして、工務店として、お客様にとって本当に便利なIoT製品なのかを
見極める目を養っていかねばならない。